10:30〜19:30(木曜日は 17:30まで)
第2・第4木曜日・金曜日・土曜日 は予約不要でご覧いただけ、休館日以外の他の日程は事前予約をお願いいたします。
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■ 2021年1月23日(土)11:00よりオンラインアーティストトーク 兼若和也 X 大巻伸嗣 開催
ヨコスカアートセンターではオープン後、初の展覧会として企画展シリーズ「By Artist ー This is a fiction.」を開催いたします。第1回目の展覧会は日本画家 兼若和也における「兼若和也展 “鬼”」を開催します。
兼若和也は1971年生まれ、1994年に京都市立芸術大学日本画学科卒業。大手百貨店や主に京都市内の画廊、美術館での個展やグループ展で作品を発表してきました。近年、活動は海外まで拡がり、2008年にはニューヨークのDillon Galleryでの展覧会に出展しています。2016年には京都駅にある美術館「えき」KYOTOに出展し、国内外から高い評価を得ている芸術家です。
兼若和也は”鬼”を描きました。描くにあたり、何かしらのカタチをした”鬼”を描くことになります。もちろん”鬼”自体は空想上のものであり誰もその実在を見ることはありません。
だから私たちはすでに出来上がっている”鬼”のビジュアルイメージに”鬼”の像を重ねて”鬼を想起します。既存の”鬼”のイメージは昔話に出てくる絵本の鬼や百鬼夜行絵巻に描かれている”鬼”でしょうか。しかし、当初よりその既存のイメージの”鬼”と兼若が感じる”鬼”に相違がありました。
実在するものだったならば、もともとの実在を活かして描くことになるでしょうが、今回の”鬼”はそうはいきません。もしかすると、”神様を描く”と言うようなことかもしれません。もちろん思いついたカタチをささっと描くことはできるでしょう。しかし、画家は描いたもの全てに責任を持ち、描いたものに対する全てを受け入れ、後世に伝えていく覚悟を持って発表します。だから兼若自身が感じる”鬼”のカタチをつくること、描くこと、そして決断することがいかに困難だったかは想像していただけるでしょうか。
確固たる既存のイメージが確立され、かつ流行や風習・地域でも根付いている”鬼”はじつは誰もが見たことがないにも関わらずポピュラーな対象です。つまりほとんどの人が”鬼”のイメージをすでに持っています。だからこそ、今回、そのイメージから外れた”鬼”を描くことは挑戦でしかありません。また同時に画家が絵画の中で生涯描き続けるモチーフを生み出し描いていこうとする瞬間でもあります。
兼若は「もしかしたら後30年しか描けない」とよく言います。そんなキャリアでもある兼若の今でもさらに突き抜けようとする画家・芸術家の活動には私は尊敬の念に堪えません。
鬼を飼いならす
鬼は、いつも「退治」されてきた。人のなかに巣食う怨念や憎しみの化身だと考えられてきたからだ。そんな悪しきもの、放逐されるべきものとしての鬼ではなく、どこか温柔なヒトガタの鬼を描いている。鬼から逃れたり、封じるばかりでなく、それを飼いならしていくために。長らく日本画としての純粋抽象画を模索してきた。今回、平面的かつマットな画肌のなかに奥行きや浮遊感を生むことに成功しているとしたら、それは抽象画での経験ゆえだろう。
ヨコスカアートセンターは芸術家 越中正人のアートプロジェクトとして設立したアーティスト・ラン・スペースです。そのアートプロジェクトとは、国内で活動している芸術家にヨコスカアートセンターで展覧会をしていただき、越中正人はその制作過程やプライベート、または意味のないような些細なこと、そして作品・展示など芸術家自身とその活動を撮影した映像作品を制作することです。ヨコスカアートセンターは映像内で制作された作品の撮影する場と発表する場として機能します。
「芸術家とは」と改めて社会へ問い直すことと、何より奇しくもコロナ禍でのこれまでとは類を見ない芸術家の制作体験は後世に伝える必要性は十二分にあると考え、本プロジェクトは始動しています。
本プロジェクト「By Artist ー This is a fiction.」は神奈川県の文化芸術活動再開加速化事業補助金を受けて実施しています。