ヨコスカアートセンターでは愛知県名古屋市在住のアーティスト 長谷部勇人が2021年8月より他府県をまたぐ移動の自粛やコロナウィルス感染防止に努めながらアーティスト・イン・レジテンスとして滞在制作を行なっています。
横須賀市では山の起伏や谷が入り組んだ地域があり、それらは谷戸地域と呼ばれています。地形的にそれらの地域は自動車は入れず、人の往来は階段や坂道のみのため、近年それらの地域から人が離れ、空き家が目立つようになっており、一部の谷戸地域では限界集落とまで呼ばれています。
今回の長谷部勇人の滞在では、その谷戸地域のフィールドワークを行い、そこから着想を得た作品が制作され、ヨコスカアートセンターで展示されます(2022年1月13日(木)〜3月25日(金))。また、アーティスト・イン・レジテンスプログラムに合わせて、今後、谷戸地域でのアートイベントやワークショップを開催していく予定です。
長谷部勇人展「ハイブー黄色温度で溶ける巣みかー」
2022年1月13日(木)〜3月25日(金)第2・第4 木・金・土曜日 開催 10:30〜19:30
長谷部勇人 Yuto Hasebe

ヨコスカアートセンターのアーティスト・イン・レジテンスで横須賀市の谷戸と言われる汐入と逸見のフィールドワークを行いました。このエリアは電車で一駅の距離ですが、高低差が強く、長い階段と自動車が入れないような通路が迷路のように無数に存在しています。沢山の空き家も目立ちますが、住人同士は挨拶を欠かさず、昔から住む人のお話を伺うこともできる心暖かい地域です。こうした経験を通して、「谷戸を巨大な巣に見立て、自身をミツバチに捉える感覚」という着想を得ました。そして、作品制作の素材として、同市の芦名にある養蜂園を見学させていただき沢山の蜜蝋(ハチの巣を構成するもの)を譲り受けました。
ヨコスカアートセンターの本企画立案時からコロナ禍であったために、緊急事態宣言を避けて名古屋から横須賀に通いました。混乱や不安の中でも多くの人が行き来する都市と限界集落の地域でもある閑散とした谷戸との対照的な景色を見ていると、ミツバチが働く様子には活発な社会活動の理想像が隠されているかも知れないと、何度か頭によぎりました。
学歴
2010 年 名古屋造形大学大学院 造形研究科 修了
受賞歴
2014 年 People’s Choice Award Most Unusual Instrument「Margaret Guthman Musical Instrument Competition」ジョージア工科大学、アトランタ、アメリカ
主な作品発表歴
2020 年「アーティスト・イン・レジデンス」鴨江アートセンター、静岡
2019 年「Prague Quadrennial」プラハ、チェコ共和国
2018 年「ICMC」テグ、韓国
2018 年「New Media Art Conference」CICA Museum、ギンポ、韓国
2017 年「中之条ビエンナーレ」群馬
2016 年「アーツ・チャレンジ」愛知芸術文化センター、愛知
2015 年「群馬青年ビエンナーレ」群馬県立近代美術館、群馬
2015 年「ifva」香港アーツセンター、香港
2013 年「NIME」KAIST、デジョン、韓国
2013 年「WRO Media Art Biennale」ヴロツワフ、ポーランド
2012 年「SIGGRAPH Asia」シンガポール